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国際赤十字・赤新月社連盟の原子力緊急事態への取り組み

2011/3/11
2011年3月11日

【東日本大震災・福島第一原発事故発生】

2011年3月11日14時46分、三陸沖の太平洋の海底を震源とするM9.0の巨大地震(後に「東日本大震災」と呼ばれる)が発生しました。そして地震に引き続いて、東北から関東北部の太平洋沿岸を中心に広範囲に津波が押し寄せ、被害を深刻化させました。
東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)では、強い地震とさらにその後来襲した津波により、1号機から4号機の非常電源を含む全ての交流電源を失った結果、原子炉および使用済燃料プールの冷却機能を失いました。3月12日に1号機、14日には3号機がそれぞれ水素が原因とみられる爆発を起こし、15日には2号機と4号機が、それぞれ大規模な破損と水素爆発を起こし、半減期の長い核種を含む大量の放射性物質が広範囲に排出され、この結果、多くの住民が県内および県外各地に避難を余儀なくされたり、孤立して取り残されたりしました。被災者は、大規模な避難過程や避難後の環境変化のために生命を失ったり、その後の長引く避難生活による肉体的・心理的負担により健康を害するなどしており、福島第一原発事故の災害は、人々に大きな人道的影響をもたらしています。


東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の概要 日赤 「東日本大震災 -救護活動から復興支援までの全記録-」を公開 日赤福島県支部が「東日本大震災 福島の記録」を発行
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2011/11/23
2011年11月23日

【第18回連盟総会にて「原子力事故がもたらす人道的影響に関する決議」を採択】

国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)の原子力災害に対する取り組みは、1979年にスリーマイル島で、1986年4月にチェルノブイリでそれぞれ発生した原子力発電所事故にさかのぼります。福島第一原発事故による大きな被害は、世界の各国に原子力事故が起こった場合の影響の大きさを再認識させました。当時、およそ30か国に400基以上の原子力発電所が存在する中、「不測の事態に備えるためには、赤十字を始め国際的な枠組みでの備えが必要」という強い危機感が共有されました。ひとたび事故が発生するとその影響は非常に大きく、一つの国や赤十字社だけでは対応しきれません。このため、国際的な協力や支援のあり方を実現するため、IFRCや各国の赤十字各社が原子力災害時の被災者救援に積極的にかかわることを盛り込んだ、「原子力事故がもたらす人道的影響に関する決議」(以下、連盟決議11/46)が、2011年11月開催の第18回国際赤十字・赤新月社連盟総会で採択されました。


2011年11月 国際赤十字社・赤新月社連盟総会での決議
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2012/1/30
2012年1月30日

【IFRCと日赤の共催で「原子力災害対策にかかる赤十字会議」(作業部会)を東京で開催】

連盟決議11/46をどのように具現化するかを話し合うため、IFRCと日赤は、関係する赤十字社(アメリカ、ドイツ、ノルウェイ、日本)を東京に集め「原子力災害対策にかかる赤十字会議」(作業部会)を共催しました。
この会議の目的は、各国の状況や各赤十字社の持つ経験を共有し、各社が現在持っている幅広い災害に対する備えに原子力緊急事態に対する備えをどう組み込んでいけるかを検討するとともに、地域において国境を越えた協力体制をどのように培っていくかについても検討することでした。
そして、①連盟決議11/46を具現化する取り組みをどのように定着させるか、②赤十字・赤新月各社が取り組むべき範囲を定義する、③赤十字・赤新月各社のリーダーシップを集結することなどについて話し合うため、5月に再び東京で会議を開催することに合意しました。グローバルな備えのために、原子力発電所が稼働中または建設中の38の国・地域(当時)の赤十字・赤新月社や、関係する外部機関や政府・有識者にも参加を呼びかけることにも合意しました。


原子力災害対策にかかる赤十字作業会議議事概要
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2012/5/14
2012年5月14日

【「原子力災害対策にかかる赤十字会議」の連絡調整会議を東京で開催】

1月の作業部会での合意に基づき、2回目の「原子力災害対策にかかる赤十字会議」(連絡調整会議)がIFRCと日赤との共催にて東京で開催されました。この会議は、多くの関係する赤十字・赤新月各社に参加してもらうため、「東日本大震災・支援国赤十字社会議」に引き続き行われ、16の国・地域の赤十字・赤新月社、関係する外部機関と、被災地である川内村の遠藤雄幸村長を招いて行われました。
会議では、原子力緊急事態には、政府や専門機関に加え、赤十字がこれらを補完する役割で中立的な立場で取り組むことが重要であることが再確認されました。
そして、①連盟事務局内に取り組みを推進するための組織を設置する、②原子力への対応とともに、生物・化学などを含めたCBRNへの備えを構築する、③「原子力災害対策等関係国赤十字社会議」(以下、関係国会議)を発足させる、④「原子力・放射線災害における事前対策および応急対応ガイドライン」を作成するなどの項目について、IFRC事務総長に実現を求めていくことが合意されました。


原子力災害対策にかかる赤十字連絡調整会議議事概要
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2013/2/1
2013年2月1日

【ジュネーブのIFRC事務局内に取り組みを推進するための組織を設置】

ジュネーブのIFRC事務局内に、原子力緊急事態への備えを推進する担当官を配置し、ここを中心に活動を推進しました。また、過去2回の赤十字会議の中で合意された項目を実現して行くための事業計画や、関係国会議の開催に向けての準備が始められました。


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2013/8/28
2013年8月28日

【第1回「原子力災害対策等関係国赤十字会議」をウィーンで開催】

第1回目の関係国会議が、ウィーンで開催されました。会議には、アメリカ、オーストリア、イスラエル、日本、カタールの5か国の赤十字・赤新月社と、IFRC事務局、IFRC欧州代表部、赤十字国際委員会(ICRC)などが参加しました。
第1回関係国会議の目的は、2014-2015年の2か年にわたる原子力・放射線緊急事態への対応として、①「戦略的事業計画」(Strategic Action Plan)に対する共通の理解を形成すること、②2か年の行動計画(Plan of Action)と予算について議論すること、③赤十字・赤新月社各社が持つ経験や対応計画などの情報を共有することでした。
戦略的事業計画では、IFRCや赤十字・赤新月各社の原子力・放射線緊急事態による人道的影響への対応能力をグローバルレベルで強化することを目指します。そして、この取り組みを赤十字内に広めていくとともに、関係する外部機関との連携強化を進めて行くことが合意されました。また、連盟決議11/46を具現化するための具体的な取り組みとしては、各社の持つ対応能力の調査を行うこと、データベースやツールを使って知識や情報を共有すること、ガイドラインの作成を行っていくことなどが議論されました。


第1回原子力災害等関係国赤十字会議議事概要
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2014/1/29
2014年1月29日

【第2回「原子力災害対策等関係国赤十字会議」をジュネーブで開催】

第2回目の関係国会議は、11か国の赤十字・赤新月社が参加してジュネーブで開催されました。今回から初めて参加した社も多く、前回の第1回会議での合意の内容や関係国会議での取り組み方針などについて共有されました。また外部の国際機関との連携を目指すため、赤十字の関連機関の他に、WHO(World Health Organization:世界保健機関)や、UNDP(United Nations Development Programme:国連開発計画)、OCHA(Office for the Coordination of Humanitarian Affair:国連人道問題調整事務所)、IAEA(International Atomic Energy Agency:国際原子力機関)などもゲストとして参加しました。
原子力・放射線災害における事前対策および応急対応ガイドライン(以下、連盟ガイドライン)については骨子が議論され、これに基づいてアメリカ赤十字社が草案作りに協力することになりました。また、原子力に対する備えに関する知識を高めるために、連盟や赤十字各社はワーキンググループを開催したり、地域での会議を開催したりすることを目指すとともに、専門知識を高めるために今回会議に参加している機関などと協力関係を強化して行くことにしました。
連盟決議11/46を具現化するための具体的な取り組みとしては、前回会議での議論で合意した、各社の持つ対応能力調査、データベースやツールによる情報共有、e-Learningツールの開発などへの取り組みを再確認しました。


第2回原子力災害等関係国赤十字会議議事概要
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2014/10/27
2014年10月27日

【第3回「原子力災害対策等関係国赤十字会議」を被災地である福島で開催】

第3回目の関係国会議は、関係する赤十字各社に被災地である福島の実情を実際に見てもらうこと、我が国や被災県および日赤の原子力災害への取り組みを紹介すること、そして原子力発電所の増加が計画されているアジアの各社に多く参加してもらうことを目的に、福島市で開催され、16の国と地域の赤十字・赤新月社が参加しました。
参加者は、福島県庁や福島赤十字病院を訪れ、福島の現状や災害時の救護、県民の健康調査についての報告を聞きました。また、今も放射線量が高いため立入りが制限されている浪江町沿岸地区、未だ試験操業が続いている相馬市の漁港、浪江町からの避難者が入居する福島市内の仮設住宅などを訪問し、被災者から直接話を聞きました。これらの視察を通して実際に見聞きした情報を踏まえ、その後の議論が行われました。
連盟ガイドラインについては、①2015年に最終ドラフトが完成すること、②CBRN(*1)対応での地域連携を促進するためのワークショップの開催の検討、③赤十字・赤新月各社でのプログラムを長期的に持続可能なものとするための取り組みを強化すること、④赤十字・赤新月各社は政府を補完する機関として、原子力緊急事態およびその備えに自分たちが持つ災害対策・対応能力に基づき、今後の役割をさらに明確にする必要があることなどが確認されました。
また、会議の中では特別プレゼンテーションとして、福島と東京の高校生たちが、福島の問題は将来を担う自分たちの問題であるという観点から、赤十字に期待すること、自分たちができることについて発表しました。
(*1) CBRN:Chemical(化学)・Biology(生物)・Radiation(放射線)・Nuclear(核)


第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議
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2015/9/7
2015年9月7日

【第4回「原子力災害対策等関係国赤十字会議」をベルリンで開催】

第4回目の関係国会議は、15の赤十字・赤新月社、IFRC、ICRC、ドイツ政府などが参加してベルリンで開催されました。会議では、①前回の福島での協議結果を踏まえた連盟ガイドラインの最終原稿の確認、②連盟が開発しリリースした、原子力緊急事態対策に関したWebベースで学習ができる「e-ラーニング」についての報告、③各社(国)の原子力災害への対応能力や法的整備に関する情報の共有、各社の取り組みなどが報告されました。また、西アフリカでのエボラ出血熱や中国での化学工場爆発事故といった昨今の世界的な感染症や災害などの状況を踏まえ、赤十字として生物・化学物質による脅威にも対応範囲を拡大していく必要性の再確認と、そうした脅威に対する各社の対応能力・訓練内容の状況が共有されました。その一環として、参加者はドイツ赤十字社のLogistics Centerにおいて、CBRN除染ユニットの見学と、ドイツ赤十字社が西アフリカでのエボラ出血熱への対応を行った際の現場での防護服の脱着方法について、注意点などの説明を受けました。
CBRN対応は今後の国際赤十字公式会議でも取り上げられるべき項目であることなどを踏まえ、各社CBRNへの対応能力を前進させる必要があることを認識しました。そのためには、各社での一般的な知識の向上だけではなく、専門家集団の確保も必要であるとの認識を持ちました。


第4回原子力災害対策等関係国赤十字社会議
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2015/12/4
2015年12月4日

【第20回IFRC総会におけるサイドイベントを開催】

ジュネーブで開催された第20回連盟総会向けに作成された事務総長報告書に中に、「原子力緊急事態に対する備え」として以下のような取組みと成果があったことが触れられています。
- 各社が持つCBRN緊急事態への対応能力や各国の法対応についての調査を行った。
- IFRCや各社の役割や専門性を強化するため、連盟の原子力災害対応ガイドラインの策定、IFRCによるe-learningモジュールや日赤によるデジタルアーカイブの開発などが行われた。
- CHARP(Chernobyl Humanitarian Assistance and Rehabilitation Programme:チェルノブイリ人道支援プログラム)についてのレビューが行われた。
連盟総会の事務総長報告に対して日赤は、連盟の原子力緊急事態への対応への評価と将来に向けての日赤の協力について発言しました。
そして、連盟総会の開催に先立って、「リスクに対する備えはできているか?」と題したサイドイベントを、日赤主催で開催しました。サイドイベントは、①チェルノブイリ・福島の原子力災害や最近の主な危機から学んだことを振り返る、②これらの危機に対するグローバル・地域・各国での新たな備えについて紹介する、③連盟決議11/46から達成してきた成果を紹介することを目的に行われました。サイドイベントの中では、福島と東京の高校生・大学生による発表や、パネリストたちによる報告・議論が行われ、原子力災害を含むCBRN緊急事態への取り組みの重要性・必要性についての意見が出されました。


連盟総会・サイドイベントについて
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