• 日本赤十字社福島県支部 復興支援事業

- 発災から5年 -
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島第一原発事故)の発生から、2016年3月で5年が経過しました。復興への明るいニュースもある一方で、福島県では、現在も10万人近い方が県内外で避難生活を送っています。

被災地支部である日本赤十字社福島県支部(以下、福島県支部)は、海外の赤十字各社を通して寄せられた海外救援金を財源に、これまでに様々な復興支援事業を行ってきました。現在も支部職員・地区分区職員・赤十字奉仕団員などが、関係する組織の協力を得ながら活動を継続しています。

発災から5年が経過するこの機に、福島県支部が行ってきた復興支援事業について、どうしてこれらの活動が必要であったのか、どのような経緯で始まったのか、またこれらの活動の中でどのような課題が浮かびあがったのかなどを、復興支援事業の活動記録と共に整理しました。

これらの情報が、日赤内にとどまらず支援活動に携わる方々にとっても、また将来起こるかもしれない原子力災害に備える取組みをしている赤十字の姉妹社および国内外の関係者にとっても、復興支援活動について考える際の一助となることを願います。

 
福島県支部の復興支援活動について
福島県支部では、震災直後より行ってきた被災者・被災自治体へのニーズ調査を基に、「健康増進事業」、「生活再建事業」、「教育支援」を柱とし、子どもからお年寄りまでを対象とした復興支援事業を、ボランティアなどの協力を得ながら実施しています。
今後も関係者にご協力いただきながら、被災者の身体と心の健康づくりを中心とした支援活動を進めていきます。
また、福島県内の現状や、福島県支部および赤十字奉仕団などのボランティアの取り組みを多くの方に知っていただき、支援の輪を広げていきたいと考えています。

 

健康増進事業


身体と心の健康づくりを応援する健康増進事業を実施しています。

 赤十字にこにこ健康教室 (2011年度~継続中)
東日本大震災および福島第一原発事故で被災された高齢者の方々は、長引く避難生活や仮設住宅などでの不自由な生活により、身体やこころの健康に大きな不安を抱えています。このため、生活不活発病の予防や介護予防、環境の変化やコミュニティの崩壊による孤立・孤独を和らげるための健康教室を開催しています。

 赤十字救急法等講習会 (2011年度~継続中)
東日本大震災および福島第一原発事故の発生以降、長引く避難生活の中で、生活不活発病や生活習慣病の発症や悪化が心配されています。それらの病気の予防やAEDの使い方、心肺蘇生を学ぶことを目的として、仮設住宅や借上げ住宅に入居している方および避難経験がある方を対象に講習会を開催しています。

 赤十字健康講演 (2011年度~2013年度)
福島県には東日本大震災による地震や津波により被害にあわれた方や福島第一原発事故により避難を余儀なくされている方が多くいます。また県民の皆さんの中には、放射性物質の影響を気にして健康に不安を感じている方も多くいらっしゃいます。そのような皆さんに放射線に関する知識と健康づくり、病気の予防や健康増進に寄与することを目的として、専門家や医師による「赤十字健康講演」を開催しました。

 避難地域住民交流会 (2012年度~継続中)
避難者の多くは、県内外の仮設住宅や借り上げ住宅など各地に分散して避難している状況で、新たな地において近所付き合いや地域でのコミュニケーションも少なく、将来に不安を抱えています。また、かつて同じ地域に住んでいた旧知の仲間や知人とは突然の避難によって別れ、会う機会もなくなってしまいました。そこで、被災者が地域ごとに再会できる場を提供して、震災前のつながりを蘇らせる機会として、各町村の協力を得て交流会を開催しています。

 被災者健康増進事業 (2012年度~継続中)
仮設住宅入居者および借上げ住宅入居者を対象に、日常生活で運動不足や身心のストレスの解消、健康増進を図ることを目的として、「赤十字わいわいウォーク(ノルディックウォーキング)」、「赤十字グラウンド・ゴルフ講習会」などのイベントや交流会を開催しています。

 

生活再建事業


被災された方の日常生活を取り戻し、コミュニティを再生するために必要な生活基盤づくりを支援しています。

 地区・分区及び赤十字奉仕団による復興支援活動 (2011年度~継続中)
被災者が心身ともに健康で明るい生活を少しでも取り戻せるよう、地区分区職員や赤十字奉仕団員が仮設住宅などを訪問し、自分たちでできる住民参加型の活動を行い、被災者やコミュニティの活性化を支援しています。本事業は、2011年度から開始され、現在も継続されています。地区・分区および奉仕団単位で、パッチワーク教室・手芸教室・健康教室・料理教室・炊き出し訓練などのイベントの実施や、花いっぱい運動など自分たちでできる活動を展開しています。

 復興イベントの開催 (2012年度~2014年度)
福島第一原発事故の影響や、慣れない仮設住宅の生活で、心身の健康や将来に不安を抱えている方が多くおられました。その様な状況の方々に、生の音楽を聴いて感動したり、映画を鑑賞して涙を流したり、笑ったりして心を動かしてもらうことが、心身の健康を保ち、元気を出してもらう上で大切であると考え、2012年度から2014年度までの間、延べ20回開催しました。

 

教育支援


次世代を担う子どもたちの将来の基盤づくりに貢献するため、震災により教育現場にて失われた物や場所、安心を提供する教育支援事業を実施しています。

 赤十字すまいるぱーく (2011年度~2013年度)
福島第一原発事故による放射線の影響に対する不安から屋外活動が制限されていた未就学児を対象に、室内で思いきり運動のできる場所を作りたいという思いから、屋内型プレイグランド「赤十字すまいるぱーく」を開催しました。2012年2月から2013年12月にかけて、福島県内の6都市で計13回開催しました。

 赤十字すまいるキャンプ (2014年度)
福島第一原発事故による放射線の影響に対する不安から精神的ストレスを抱えている児童・生徒を対象に、自然の中での活動や県内の異学年や他校の仲間との共同宿泊の体験を通して、心身のリフレッシュを図るとともに、「将来の視野を広げるプログラム」や「仲間との協調・助け合いを感じ、実行する機会」を提供しました。将来の福島県を担う子どもたちの基盤を作ることを目的として実施しました。

 被災学校支援事業 (2011年度~継続中)
東日本大震災や福島第一原発事故のために校舎が被災したり、学校の所在地が避難指示区域内のため避難先の仮設校舎などで授業を続けている学校があります。また、学校そのものは被災を受けていなくても、自宅が被災したり避難指示区域のため避難先から学校に通っている生徒・児童たちもいます。そのような生徒・児童たちの学校生活をより豊かなものにし、ストレスや不安が軽減されることを目的に始められたのが学校支援事業です。学校側の要望を取り入れながら、対象となる生徒・児童に適した内容の音楽や演劇、映画などの鑑賞や、ワークショップによる体験学習などの場を提供しています。

 「青少年赤十字 詩・100文字提案」作品募集 (2011年度~継続中)
「青少年赤十字 詩・100文字提案」作品募集は2006年度から実施している事業です。2011年度からは、東日本大震災、福島第一原発事故を体験して「気づいたこと」「考えたこと」「実行したこと、実行しようとしたこと」を詩・100文字に表現した作品を募集し、作品審査会、作品集の作成を行いました。生徒・児童が、「書く活動」を通して自己の思いを表現することにより、これからの生活を前向きに考えられるようにするとともに、自立心を育てることを目的として実施しています。

 被災した高校生の国際交流事業 (2013年度~継続中)
福島県支部では、これまでも「国際理解・親善」を深めるための具体的事業として、県内の青少年赤十字(JRC)加盟校のメンバーを海外の赤十字加盟国へ派遣してきました。震災後は、県内のJRC加盟校の他に被災高校の生徒からも参加を募り、被害の実態を海外に伝えるとともに数多くの支援を受けたことへの感謝も伝えながら、現地の青少年との交流を図っています。

 

福島県支部復興支援事業の実施状況


No. 分野 事業名 2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
2015
年度
事業の概要
1 健康増進活動 赤十字にこにこ
健康教室
仮設住宅などで不自由な生活を送っている高齢者を対象に、生活不活発病の予防や孤立を和らげる教室を開催する。
2 健康増進活動 赤十字救急法等
講習会
仮設住宅の集会所に設置されたAEDの使用方法や健康に関する講習を、救急法等指導員が行う。
3 健康増進活動 赤十字健康講演     原発事故により避難し健康不安を感じている方に、専門家や医師による講演会を開催する。
4 健康増進活動 避難地域住民
交流会
  避難生活で分散した地域住民のつながりを蘇らせる機会として、避難前の自治体ごとの住民の交流会を開催する。
5 健康増進活動 被災者健康増進
事業
  被災者の運動不足防止やストレス解消のための野外活動を行う。
(わいわいウォーク、グラウンド・ゴルフ)
6 生活再建事業 地区・分区および赤十字奉仕団による復興支援活動 地区分区職員や奉仕団員が仮設住宅などを訪問し、自分たちでできる支援活動を行い、被災者やコミュニティーを支援する。
7 生活再建事業 復興イベントの
開催
    被災者の心身の健康の不安を軽減するため、ライブや映画上映などのイベントを行う。
8 教育支援 赤十字すまいる
ぱーく
    原発事故による放射線の影響に不安を感じて屋外活動が制限されていた未就学児に、室内で思いっきり運動のできる場を提供する。
9 教育支援 赤十字すまいる
キャンプ
        原発事故による放射線の影響に対する不安からストレスを感じている児童・生徒に、自然体験や仲間とのふれあいを持つ場を提供する。
10 教育支援 被災学校支援事業 学校が被災したり原発事故の影響で避難したりで仮設校舎などに通う生徒・児童に、音楽や演劇などに触れる機会を提供する。
11 教育支援 「青少年赤十字詩・100文字提案」作品募集 生徒・児童が、原発事故を体験して気づいたこと、考えたことなどを表現した、詩・100文字提案作品を募集し、作品集を作成する。
12 教育支援 被災した高校生の
国際交流事業
    青少年赤十字加盟校、被災した学校の高校生を海外の赤十字加盟国へ派遣し、その国の青少年赤十字メンバーと交流する場を提供する。