赤十字にこにこ健康教室

東日本大震災および福島第一原発事故で被災された高齢者の方々は、長引く避難生活や仮設住宅などでの不自由な生活により、身体やこころの健康に大きな不安を抱えています。このため、生活不活発病の予防や介護予防、環境の変化やコミュニティの崩壊による孤立・孤独を和らげるための健康教室を開催しています。赤十字奉仕団員などと共に開催することにより、地域のボランティア活動のさらなる活性化も期待しています。

プログラム内容


【主 催】: 日赤福島県支部、地区分区、赤十字奉仕団、仮設住宅自治会
【会 場】: 仮設住宅団地の集会所など
【対 象】: 概ね65歳以上の高齢者の方
【参加者】: 1回につき30名程度
【活動者】: 健康生活支援講習指導員(他県支部の指導員にも協力いただいています)
       地域赤十字奉仕団などの赤十字ボランティア
【内 容】:
 ① 健康チェック(血圧測定、体脂肪率測定)
 ② 健康生活支援講習・健康に暮らすために役立つ技術
  (毛布を使ったガウン、ホットタオル、足湯、心肺蘇生、AEDの使い方、ストレッチ体操など)
 ③ 昼食
 ④ お楽しみ会(ゲーム、民謡、ダンス、フラワーアレンジメント、リラクゼーションなど)

開催実績


赤十字にこにこ健康教室の開催場所(地図)[PDF]
全国各支部の健康生活支援講習指導員や地域の赤十字奉仕団などの支援をうけて、県内各地の仮設住宅の集会所やコミュニティーセンターなどで開催しています。各年度の開催場所を地図上に示しました。

各年度の開催実績を一覧表にまとめました。

2011年度開催実績 [PDF]
2011年の9月から赤十字にこにこ健康教室を開始しました。
2012年度開催実績 [PDF]
2012年度は21か所の仮設住宅や会場をまわり、合計23回開催しました。
2013年度開催実績 [PDF]
2013年度は26回開催しました。7月の田村市船引保健センターの開催から、生花を使用したフラワーアレンジメントを追加し、参加者から好評をいただきました。
2014年度開催実績 [PDF]
2014年度は23回開催しました。2015年2月に福島市の松川工業団地第一仮設住宅での開催は、ANAとの共催で「こうくうフェアinふくしま」を開催しました。
2015年度開催実績 [PDF]
2015年度は26回開催しました。今年度初めて開催する仮設住宅もいくつかありました。赤十字にこにこ健康教室は現在も継続しています。

開催事例の紹介


赤十字にこにこ健康教室の開催事例をいくつか紹介します。

長原仮設住宅(大熊町民、2014年3月)[PDF]
大熊町民が避難している仮設住宅です。いつもこの仮設住宅を支援している喜多方市赤十字奉仕団との協力で開催しました。
貝山仮設住宅(葛尾村民、2014年6月)[PDF]
葛尾村民が避難している仮設住宅です。三春町赤十字奉仕団の協力で開催しました。避難中の葛尾村赤十字奉仕団の方も参加していました。

日赤福島県支部担当職員のコメント


救護活動が一段落したとき、仮設住宅で復興支援事業をすることになり、赤十字は何が提供できるか?と考えました。健康に過ごすための知識や役に立つ技術を提供すること、一緒に楽しめみんなが笑顔になれるようなイベントに、また、できれば参加者のこころのケアにもなればと考えました。

そこで、以前から地域で実施していた「にこにこ健康教室」を仮設住宅で行えるように内容を検討しました。避難したことによる生活パターンの変化や運動不足により生活習慣病や生活不活発病、うつ状態の心配などが考えられました。血圧や体脂肪測定(測定機器を使っての健康チェック)、生活習慣病予防の話やストレッチ体操、そして、ホットタオルや足湯は「今後介護が必要になった時に役にたちますよ」と説明しています。椅子からの立ち上がりや介助の仕方も、参加者には高齢者が多いため好評です。

もし倒れた時の心肺蘇生とAEDの使い方についても関心が高いです。AEDは全仮設住宅の集会所に日赤が配布しているので、使用方法を確認していただいています。仮設住宅で孤独死された方のことも報道され、福島県は震災関連死も多いため、みなさんの関心も高いようです。

昼食は、お弁当をみんなでおしゃべりしながら食べます。一人暮らしの方が多いため、「みんなで食べるとおいしいね…」と言われ、仮設住宅の湯沸し室は狭いので、お弁当は手間かからずの外注の方がスムーズです。

昼食後は、フラワーアレンジメントとして小さなコップにお花を生けてもらっています。お花を前にしてみんな楽しそうです。すこしでも心が癒されればとの思いであり好評です。

その後は、お楽しみ会です。協力いただいている赤十字奉仕団には、体重や体脂肪測定の補助や、お楽しみ会で何か出し物をお願いしています。みんなでできる歌や体操やゲームなどを用意していただいています。奉仕団を巻き込んでの行事は、この「にこにこ健康教室」が終わったあとも、仮設住宅とのつながりができればとの考えからです。

福島県は赤十字奉仕団がほとんどの市町村に結成されています。震災前から地域でのボランティア活動を行っていますが、震災時には炊き出しなどに活躍いただきました。その後も仮設住宅ができたけれどどうすれば活動できるの?と戸惑う声も聞かれましたが、この行事に参加することによって、繋がりができて、その後の奉仕団活動に結びついたところも多いと伺っています。ありがたいことです。

また、リラクゼーションで手の暖かさを実感してもらっています。人のぬくもりや手のぬくもりを感じて癒しの時間になればとの思いで行っています。

最後はエイエイオーと気合いを入れて終了します。気力を持って難局を乗り切りたいものと考えます。以上がにこにこ健康教室のプログラムです。

参加者の多くは高齢者で、アンケートの感想には「とても楽しかった」「久しぶりに笑った」などの喜びの声がほとんどなのに対し、「今、関心のあること。悩んでいることは?」という質問には、「健康不安や家族と離れ離れになったこと」、「これからの生活の不安」、「いつ自宅に帰れるか」という不安などが綴られています。話を伺っていると震災直後の経験を語る方も多く、4年以上経った今でも、当時の恐怖と避難所を転々としたつらかった経験など、語り尽くせない思いをかかえていると感じます。

行事を開催するにあたりもう1つ考えたことは、「避難された地区・分区や町村に負担をかけない」ということです。講習会であれば、開催申請書をもらってからとなるのですが、電話をもらえば、日赤でチラシを作り、いろいろな団体と調整し広報を依頼し、混乱し疲れきっている地区・分区の職員になるべく負担をかけないようにと考えています。

「にこにこ健康教室」としてパッケージ化したことにより、わかりやすく事業が進めやすくなったのではと考えています。

それから、この行事の進行は、健康生活支援講習指導員2人が進めています。支部の指導員と福島赤十字病院からも協力を得ていますが、そのほか他県からの応援も欠かせません。原発事故という特殊災害による避難であるので、この機会にぜひ福島の理解を深めていただきたいとの思いと、今後赤十字活動の参考になればと考え、全国の指導員に協力を呼びかけています。

参加者には海外救援金の説明もさせていただいています。この行事が開催できることや、家電セットも配布されていることなどの説明をすると「初めて知った」と言われる方も多いです。

最後に参加者を集める広報について、記しておきたいと思います。仮設住宅の住民にどうやって広報するか?と戸惑いもありましたが、日赤分区や社会福祉協議会、そして仮設住宅の自治会長、仮設住宅の生活支援員の方々や時には赤十字奉仕団員にもお手伝いいただき参加者を募っています。広報がうまく進まない時には、職員が直接出かけてチラシを配布することもあります。

以上、事業内容と波及効果や工夫していることなど説明しましたが、開催するにあたりマンパワーも必要です。開催の呼びかけ、日程の決定、連絡調整、広報、配布物や持参品の準備、現地のお店に弁当やお花の発注(現地で現金支払いをします)、牛乳やヨーグルトを支援いただいている東北協同乳業さんへの依頼、前渡金の経理、時には全国から来る指導員のホテルの予約、運転業務と大忙しです。復興支援事業の担当職員がいることと、それら職員の努力が開催の原動力になっています。