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CBRN緊急事態における事前対策ワークショップ

2017/03/03

ワークショップ概要


期間:2016年12月5日(月)~ 9日(金)
場所:ウィーン(オーストリア)
主催:国際赤十字・赤新月社連盟およびオーストリア赤十字社による共催

背景


2011年3月、日本において大規模な地震と津波により原子力事故が発生しました。その後、各赤十字・赤新月社は国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)総会において「原子力事故がもたらす人道的影響に関する決議」を採択しました。

この決議での目的は、放射線・原子力緊急事態への備えと対応における役割を強化するためにIFRCおよび各赤十字・赤新月社の知識と能力を向上すること、そして原子力事故時・事故後における人道的影響に対処するための能力を増強することでした。

IFRCは、各赤十字・赤新月社による支援のもと、「原子力・放射線災害における事前対策および応急対応ガイドライン」(以下、ガイドライン)を策定しました。これが今回の「(化学・生物・)放射線・原子力災害に関するワークショップ」(以下、ワークショップ)の基礎となっています。このガイドラインでは、IFRCおよび各赤十字・赤新月社がこのような(化学・生物・)放射線・原子力(以下、CBRN)災害に取り組む際にポイントとなることを押さえようと努めました。また、スタッフとボランティアの安全を確保し、各国での役割の中で対応できるよう努めました。

今回のワークショップが企画されたのは、このガイドラインの適切な普及を確実に行うため、各赤十字・赤新月社がこのような特殊な緊急事態・災害でのオペレーションの特徴についてよりよく理解するため、そして各国での任務に応じて被災者の人道的ニーズに取り組めるようにするためでした。

今回のワークショップでは、各赤十字・赤新月社がCBRN緊急事態体制の計画・準備・見直しができるようになることに重点が置かれました。

目的:


今回のワークショップの目的は、各赤十字・赤新月社からの参加者に、実践的な情報およびガイドラインに記載されているようなツールを提供することです。ワークショップ終了後、参加者は次のことが可能となります:

  • 既存の活動および行政当局から割り当てられた任務に基づき、各赤十字・赤新月社のCBRN緊急事態対応計画を作成できる。
  • IFRCおよび各赤十字・赤新月社のCBRNハザード(危険)における役割が盛り込まれている政策的枠組みを理解できる。
  • CBRNリスク/シナリオの定義方法、および人道的影響/ニーズを明確にし、取り組むための、CBRNリスク/シナリオの分析方法について認識できる。
  • CBRNシナリオに対応するスタッフおよびボランティアを保護するための義務および責務、ならびに各赤十字・赤新月社が実行できる/実行すべき防護措置について認識できる。
  • CBRN緊急事態対応計画の作成時および対応時における、国内外のその他の当事者の役割について理解できる。

ワークショップ期間中には、以下のような機会を持つことも考えられます:

  • CBRN EPR (Emergency Preparedness and Response: 事前対策・応急対応) ツール立ち上げについてのベストプラクティス情報の交換
  • CBRN分野で対応可能なチームおよび利用可能な装備についての情報共有
  • CBRN災害への備え・応急活動における域内相互支援方法についてのディスカッション
  • トレーニングおよび能力構築演習のための機会共有

参加者


今回のワークショップの参加対象者は、各赤十字・赤新月社で災害への備え・対応に携わっており、特にCBRN脅威での経験を持つプログラム/オペレーションの専門家です。他にも、専門家ネットワークの構築および建設的対話を通じた能力増強に関心のあるIFRCおよび赤十字国際委員会(ICRC)の代表も対象です。参加者は、国内外および域内のCBRN活動において各赤十字・赤新月社が意義ある立場を担うことができるようなプログラム計画を策定する立場にある者とします。

17の赤十字・赤新月社、ICRCおよびIFRCからの参加者31名が、CBRN災害特有のオペレーション上の課題について知識を深めるために、ウィーンに5日間集まりました。

ワークショップ参加者 [PDF](英語)

今回のワークショップはオーストリア赤十字社が主催しました。オーストリア赤十字社の多大なる支援と貢献により、ワークショップはよく組織され、様々なセッションが積極的に進められました。

ワークショップのアジェンダおよびプレゼンテーション資料 [PDF]
各セッションで使われたプレゼンテーション資料は、アジェンダの各リンクからご覧いただけます。

まとめ


各赤十字・赤新月社がCBRNイニシャティブを開始するための12の理由
主な前提

  • 「なぜ各赤十字・赤新月社は、CBRNへの取り組みを入念に検討すべきなのか。なぜ他のアクションとは異なる時間的・資金的リソースや注意が必要となるのか」ということが問われています。
  • 各赤十字・赤新月社のリーダーのほとんどが、人々のニーズは利用できるリソースを常に上回ることを知っています。しかし、リーダー達は国際赤十字の枠組みの中で最大限可能なことを成し遂げようと努めています。
  • 行動するための根拠をまず受け入れてから、具体的な方策にコミットしなければなりません。

12の理由をあげる目的は、まずコミットメントを確保し、計画を作成し時間をかけて行動していくためです。

  • 複合災害(自然災害および技術災害)が増加している
  • メディアおよび一般市民の認識・期待のグローバル化
  • 世界的に都市人口が増加し、都市への人口集中も進んでいる
  • 災害が発生した際の一般市民の赤十字・赤新月への期待の高さ
  • 赤十字の付加価値を行政当局に示す
  • 寄付者や一般市民が赤十字・赤新月社について見たり聞いたりする機会を増やす
  • 現状にのみ集中することは、各赤十字・赤新月社の将来にとってふさわしくない
  • CBRNに注目することは、複数の同じような不可避のリスクに備える/取り組む上で、たいへん効率の良い行動である
  • 将来的に避けられないCBRN災害に効果的に対応できなかった場合、その赤十字・赤新月社は公共的な価値を損なうだろう
  • パートナーおよびボランティアを得るための機会
  • CBRN災害への備えは、国際赤十字の2020年に向けた短期的な方向性および目標とよく合致している
  • CBRNハザードは、今後の重大な災害である

参加者は自分達が所属する赤十字・赤新月社にとってのCBRNの問題を、集中ディスカッションやグループワークで検討しました。その結果が上記の12の理由です。日本赤十字社などいくつかの赤十字・赤新月社から、エビデンスに基づいた経験を含む様々な技術的な発表が行われました。こういった発表によって参加者達は、CBRNの問題および各赤十字・赤新月社が国内で行っている既存の活動への影響の可能性について議論し、評価することができました。多くの実習や机上演習、そしてオーストリア赤十字社ウィーン支部の除染ユニットによるデモンストレーションによって、CBRN緊急事態による影響への理解が深まりました。

フォローアップ


このワークショップ後、参加者にはワークショップで紹介された知識、ディスカッション、ツールそしてネットワークを使って、各赤十字・赤新月社のCBRN災害のための計画の作成・実行を進めていくことが期待されます。IFRCおよび国際赤十字におけるパートナーは、このワークショップ後も引き続き、参加者が今後直面する可能性のある課題を解決するためのサポート提供を計画しています。また、IFRCは再度ワークショップを企画し、今回出席できなかった赤十字・赤新月社スタッフに参加を呼びかけることを計画しています。

参加者からのフィードバック


2人の参加者からワークショップについてのフィードバックをいただきました。