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  2. 第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議>
  3. 開会挨拶(IFRC エルハッジ・アマドゥ・シィ 事務総長)
開催挨拶

開会挨拶(IFRC エルハッジ・アマドゥ・シィ 事務総長)

会議の開催にあたり、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)会長でもある日本赤十字社 近衞忠煇社長と、IFRCのシィ事務総長から開会挨拶がありました。国際赤十字・赤新月社連盟のシィ事務総長からは、2013年に発生した全ての災害の内3分の1以上が技術災害であることから、「我々はこのような状況と共生していかなければならないこと、そして明日1日被災地を訪れた後、実りある意見交換が行われることを希望する」と挨拶がありました。

  1. 社長挨拶
  2. 事務総長挨拶|

ご来賓の皆様、参加者の皆さん
 
この会議のみならず、ここ福島に来られたことを私はとても嬉しく思っています。なぜなら、「常にコミュニティの人々の側に寄り添い、彼らとともに困難な課題に共に立ち向かう」という私たちのモットーを実践することだからです。
 
被災地を明日訪れる機会をいただいたことも幸いです。被災地視察は、私たちが心を寄せ、常に寄り添うであろうコミュニティの皆さんに安心していただくために、私たちの支援を実行に移すことにほかなりません。また、この特殊な環境における対処メカニズムや対応状況そして災害から立ち直る力を知るための視察でもあります。そして、得られた教訓を私たちが継続して行っている災害に備える取組みにどのように組み入れるかについて学ぶためでもあります。備えによって災害の危険性が災害とならないようするため、またスケールの複雑さゆえに災害となった場合でも、常に現場で支援にあたらなくてはならない私たちのボランティアやスタッフを守るため、そしてコミュニティの皆さんを守るために最善の対応ができるようにするためです。
 
皆さんもご存じのとおり、東日本大震災が発生した時、国際赤十字も含め世界中が支援に動きました。世界中の人々が連帯して、これまで日本が世界にしてくれたことに少しでも恩返ししたいと思ったのです。各国の赤十字社のスタッフやボランティアが支援を届けました。その中には世界でも最も貧しい国々の人々も入っていました。そして、十分ではなかったかもしれませんが、日本を支援するために共に6億ドルもの寄付が集まったのです。世界では非常に多くの危機的状況が存在しています。災害への対応資源が不十分な国々で次から次へとそのような状況が起こっています。国際赤十字から緊急支援アピールを出しても寄付が集まるのは難しく、必要な資金のおよそ半分にとどまります。しかし、今回日本への支援については国際赤十字からの支援アピールを出したわけではありませんが、アフガニスタン赤新月社のドライバーや、海外からの支援を受けているケニアの人々、そのほか多くの人々が寄付をしてくれました。それらが集まって6億ドルもの支援になったのです。しかし、私はこの行動は単なる助け以上のものを表していると思います。不幸な災害ではありましたが、それが連帯や思いやり、支援を表す機会となり、私たちの心を一つにすることになったと思います。それは、私たちが誰であろうと、どこにいようと、この災害発生地から遠く離れていようとも、私たちが共有する人道の精神なのです。
 
私たちは原子力技術、原子力事故やその予防の専門家ではありません。世界中の多くの地域で何度も不幸な状況に直面しなければならないという意味で、私たちは一般災害への備えや対応の専門家なのかもしれません。この経験に私たち国際赤十字運動として積み上げたいと思っているのです。しかし、私たちは独りではありません。今回の会議には国際原子力機関と国際放射線防護委員会からも仲間が参加してくれています。彼らを歓迎し、感謝したいと思います。この2つの機関の専門知識が常に現場での対応に活かされ、災害時やその予防に利用されるのでしょう。そして、その素晴らしい専門知識は私たちの備えにも活かされることでしょう。なぜなら、私たちは必ず備えなければならないからです。
 
2013年に発生したすべての災害のうち、3分の1以上が技術的な性質のものであると読んだことがあります。私自身そのことに非常に驚いたと言わざるを得ません。私たちは今後もあの大きな出来事を覚えておかなければなりません。それは28年前のチェルノブイリ事故、そして3年前の福島第一原子力発電所事故です。将来の人道的課題がいかなるものであっても、これらの事故で起きたことがその重要な一部となるように、そしてその危険性や災害に直面する可能性に目が留められるように、その非常に困難な状況から私たちはこれらの事故がどう一般の災害と違うのか、とその影響を知ろうとしています。今回の事故のように大規模ではないにしても、毎年何百もの災害が発生し大きな影響を与えることを考えると、このことはさらに重要になってきます。ほとんどの場合、その影響は経済的影響として測ることができます。2030年までにこのような複雑な災害の経済的影響は2,250億ドルを超えるだろう、という予測を私は読みました。
 
一方で、社会的影響は測ることができません。ほんの数秒で人々の残りの人生に及ぼす影響、住んでいた村や家、故郷から離れなくてはならず、しかも再びそこに住むことができないという影響などです。皆さんもよくご存じのように、多くの友人、クラスメート、先生、医師、世話をしてくれていた人々を失うという目に見えない傷を負って生きていかなければならない、という状況があります。それはまた、もう一つの人道的課題であり、私たちに示されている方向なのです。
 
申し上げたような理由で、お互いに学び支え合い、将来によりよく備えるために、今日ここに私たちが謙虚な気持ちで集まったことを私は喜ばしく思います。災害は今後起こってほしくありませんが、私たちはこのような状況の中で生きていかなければなりません。連盟会長の発言にもありますが、私たちの日常生活の大部分は様々な技術と関係しており、それが時として私たちの最大の課題となりうるのです。どのように折り合いをつけていくのかは、私たちの永遠の課題です。
 
この会議へお集まり下さった皆さんを歓迎いたします。この会議がたいへん重要なものであることは、皆さんと私たちがここに集まったことにとてもよく象徴されています。私はこの会議の一部に参加するのを楽しみしています。明日、私も被災地を訪れます。視察後、実りある意見交換が行われ、皆さんが実りある日々をここ福島で過ごされることを願っています。
 
ありがとうございました。