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  3. 参加者からのメッセージ
参加者からのメッセージ

参加者からのメッセージ

本会議に参加した国際赤十字のメンバーから寄せられた、福島県を訪れた感想や、今回の会議についてのコメントを掲載しています。

アメリカ赤十字社


American Red Cross

Armond Thomas Mascelli
Volunteer Consultant, International Services
American Red Cross

1. 福島訪問前と訪問後の印象
福島を訪問するまではニュースや映像、プレゼンテーション、報告書、調査書でしか知らなかった福島第一原発事故やその状況ですが、今回訪問したことによって、「人の顔と感情」を帯びるものとなりました。

2. あなたの国での原子力災害への備えはどのような状況ですか?事故が発生した場合、あなたの赤十字社・赤新月社はどのように対応することになるのでしょうか?
福島での事故をうけ、アメリカ政府は原子力発電所で事故が発生した場合の計画、備えそして対応における注意事項を改訂しました。今後もアメリカ赤十字社は政府による災害への備えと対応のためのアクションに長期的に関わっていきます。

3. 第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議を振り返って
会議の議題はよく練られており、効率よく運営されました。私からは以下3つの点について振り返ったことを述べたいと思います。

(1) 今回の訪問によって被災地の現場の方々の考え、また初動対応に携わった自治体や日本赤十字社の関係者の方々から有益なお話を聞く機会を得ました。また、復興の様子や被災者の方々の苦しみを軽減するための取り組みについても伺うことができました。「実際の現場に触れる」ことで、原子力災害がもたらす複雑で長期にわたる影響がはっきりと示されました。

(2) 今回の会議では関係国によるプレゼンテーションや議論(公式・非公式ともに)が行われ、原子力に関する技術や国によって異なる原子力事故対応への備えについて知り、理解し、また認識する良い機会となりました。今回の会議により、関係国やその他の赤十字・赤新月社に支援・助言を行う上で、国際赤十字・赤新月社連盟として何ができるのかに力点がしっかり置かれることとなりました。

(3) 日本赤十字社は福島での事故によって引き起こされた大きな問題を、たいへんオープンに振り返っていました。そして事故から学んだ「教訓」だけでなく、原子力・放射線緊急事態に備える上での戦略と具体的なアクションを惜しみなく分かち合ってくれました。このことは、原子力災害への備えという課題を担っている赤十字・赤新月社のみならず、国際赤十字全体にとっても貴重なことです。

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イタリア赤十字社


Italian Red Cross

Claudia Fontana
Supervisor, Department of Environmental Radioactivity
Central Laboratory, Italian Red Cross

1. 福島訪問前と訪問後の印象
福島に来るまでに私は様々な科学的文献を読み、国内外の講演に出席し、福島第一原発事故について十分な情報を得ていました。事故後、イタリア赤十字社はイタリア国内の環境中の放射能モニタリングを行いました。

福島での体験からは得るものがたいへん多かったです。私はすでにチェルノブイリでの経験もありました。ミンスクの小児病院の子ども達やゴメリ州の村々の被災者を訪ねたことがあります。

今回の福島訪問は私の放射線防護に関する知識をさらに広げてくれました。この分野の専門家の皆さんとの交流は忘れがたい経験となりました。福島赤十字病院で先生の報告を伺い、緊急事態における初期対応の重要性が確認されたと私は思いました。特に甲状腺がんのリスクを最小限に抑えるためにヨウ素を予防服用すること、それも子どもへの投与の重要性が確認されたと思います。津波で流されてしまった海岸近くの汚染地域を訪ねた時、私は今回の災害の規模、そして放射能汚染が被災者に与えた影響があまりに大きいことに心を動かされました。

2. あなたの国での原子力災害への備えはどのような状況ですか?事故が発生した場合、あなたの赤十字社・赤新月社はどのように対応することになるのでしょうか?
1987年の国民投票を受け、イタリアは原子力を持たない国となりました。まだ原子力発電所は存在しますが、そのいくつかは今後廃炉となる予定です。イタリアは新たな原子力発電所の建設計画を中止しましたが、他のヨーロッパ諸国との協力は継続しています。原子力災害が発生するかもしれないという危険性はイタリアの国境からそう遠くない近隣諸国(フランス、スイス、スロベニアなど)に存在します。そのような理由で、イタリアでは国家環境放射能モニタリング・ネットワークのための研究所を国と地方が持っています。調整はイタリア環境省内にある防護・環境研究高等研究所が行っています。

イタリア赤十字社はこのネットワークに参加しています。欧州共同体の一国として、環境中の放射能に関する情報のコントロールおよび情報交換を規定する基本原則に則って参加しています。この原則は1957年3月25日に調印されたヨーロッパ原子力共同体設立条約(Euratom条約)の第35条および第36条に規定されています。各国が関連するモニタリングを恒久的に行い、委員会にその結果を定期的に報告することが義務づけられています。

また、イタリア赤十字社は災害への備えと除染手順についてのトレーニングを専門家と共に実施しています。CBRN注緊急対応時のツールについてもトレーニングを行っています。

3. 第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議を振り返って
会議はたいへん興味深く、その内容と日本赤十字社を私は高く評価します。そのことを強調しておきたいと思います。私はイタリア赤十字社で放射線防護という分野において30年間仕事をしてきましたので、原子力災害対策関係国赤十字社会議の皆さんや私と同じように次の考えを持つ専門家の方々と協力できることを嬉しく思います。つまり、ボランティアは自然災害(地震、洪水、土砂災害など)の場合と異なり、技術的災害については情報がなく、訓練を受けておらず、また、そこから生じるリスクへの備えができていないと考えられる、ということです。

他の赤十字・赤新月社と情報交換ができたことはたいへん有意義でしたし、これは今後の協力の始まりです。イタリア赤十字社は国際赤十字運動のためのトレーニング・コース(サマースクール)に参画しています。

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マレーシア赤新月社


Malaysian Red Crescent Society

Saiful Izan Bin Nordin
Manager, International Humanitarian Law/Legal
Malaysian Red Crescent Society

1. 福島訪問前と訪問後の印象
ニュースを通じて見た福島第一原発事故の衝撃と自分の目で実際に福島を見た衝撃は比べものになりません。私が福島に抱いていた印象は、たまたま原子力発電所があった小さな漁村、でした。しかし実際に訪れてみると、福島はどこにでもあるような街で、マレーシアにも同じような街があるかもしれません。それゆえ、同じような状況はマレーシアでも起こりうる、そうなれば犠牲になっていたのは私の家族だったかもしれない、という思いが私の心に浮かびました。そして、もし同じような事故が起こっていたら、私の国や他の国の赤十字・赤新月社、人道支援組織、政府当局は日本が対処したようにうまく対処できたのだろうか、という疑問が湧き上がりました。ですから福島の事故から教訓を学ばなくてはなりません。そして今回、日本赤十字社と福島の関連自治体の皆様がその貴重な経験をこころよくお話して下さったことにたいへん感謝しています。

メディアを通して被災者のための仮設住宅を見ることと、寒い冬に実際に現地を訪れるのとでは違いました。メディアを通じて、冷蔵庫や洗濯機といった標準的な生活家電が仮設住宅に備えつけられていることを知ることはできるかもしれません。しかし、実際に訪ねた時に私が一番初めに感じたのは、各住宅のサイズです。4年近くも仮設住宅に住み、自分の家に帰ることができないという生活はどんなにか落ち着かないことでしょう。

2. あなたの国での原子力災害への備えはどのような状況ですか?事故が発生した場合、あなたの赤十字社・赤新月社はどのように対応することになるのでしょうか?
マレーシアには核兵器も原子炉もありません。しかし、原子炉は近い将来建設されるかもしれません。ですから、政府を補完する役割としてマレーシア赤新月社が、原子力事故のような可能性に備えることは適切であると言えるでしょう。

今回会議で提案されたガイドラインはまだ策定中ですが、その策定に参加し、貢献することはマレーシア赤新月社にとって絶対に必要なことです。関係国赤十字社会議でも議論されたように、ガイドラインの目的は原子力事故の専門家を育てることではなく、原子力事故のような状況をカバーするために、各赤十字・赤新月社の災害チームの活動範囲を広げることなのです。

ですから、ガイドラインはできるだけ実用的なものでなくてはなりません。そして承認された後は、マレーシア国内で国家安全会議や関係機関といった原子力事故への備えに携わる人々と共有できることが望まれます。

3. 第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議を振り返って
会議に招かれたことはマレーシア赤新月社にとってたいへん名誉なことでした。日本赤十字社は今回の会議を成功させる上で良き働きをしていました。日本赤十字社と会議開催に携わったすべての方々に感謝いたします。この分野における外部の専門家を招待されたこともよかったです。会議開催中の皆さんの貢献により、今回提案された原子力災害に備えるためのガイドラインが現実のものとされるよう願っています。