会議の総括

会議の総括

福島市で開催された第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議について、国際赤十字・赤新月社連盟としての総括を掲載しています。

Summary of the Meeting

第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議(以下「関係国会議」)が2014年10月27日から30日まで福島県で行われました。今回の会議は国際赤十字・赤新月社連盟(以下「連盟」)と日本赤十字社(以下「日赤」)の共催によるものでした。

16ヵ国の赤十字・赤新月社からの参加者に加え、赤十字国際委員会(ICRC)、連盟からの代表も参加し、原子力・放射線緊急事態がもたらす人道的影響について理解する機会を得ました。また、原子力災害により確実に備えるための専門知識を持った赤十字社、またすでに何らかの対応整備を行った赤十字社との交流、さらには国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)、日本の国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長などの外部関係者や、福島と東京の高校生達(1st Step from Fukushima Projectメンバー)と議論する機会も得ました。これにより、参加した赤十字・赤新月社は、マルチハザードにおいて原子力災害から生じる人道的影響について理解することができました。
 
会議では以下の具体的な議題について、熱心な議論が行われました。

  • 現状把握:赤十字による対応と福島における課題
    ・技術的災害分野も含め近年では最大規模であった地震・津波・原子力事故の災害から3年半経った被災地と被災者の現状
    ・赤十字のネットワークによって世界中から寄付された1,000億円がどのように使われているのか
    ・CBRN(chemical, biological, radiological and nuclear*1)物質が関連する災害にはどのような特徴があるのか、
     またどのような対応が必要とされるのか
    ・福島の人々はどのように復興を行ってきたのか、また、まだ何が必要とされているのか
     
  • ディスカッション:原子力緊急事態への備え・対応のための「連盟ガイドライン」*2草案について
     
  • 展開の仕方:赤十字による既存の原子力緊急事態への備え・対応活動に、どのようにこの項目を取り込んでより良くしていくのか
     
  • 今後の取り組み:現在行われている活動、専門家集団の立ち上げ、地域でのワークショップにこの項目をどのように反映させていくのか、
    2015年12月に開催される次の国際赤十字の公式会議でこの問題をどのように取り上げるのか、
    原子力緊急事態関連の国際ネットワークの中でどのように人道外交の取り組みを促進していくのか

*1 化学、生物、放射線および核。
*2 連盟が策定を予定している被災者支援に必要な赤十字としての行動指針(世界189の赤十字・赤新月社の行動指針)。



関係国会議の結果

Summary of the Meeting

4日間にわたる今回の会議では、以下のように数多くの結果がもたらされました。

  • 「連盟ガイドライン」は、各赤十字・赤新月社が原子力緊急事態への備えという問題をそれぞれの計画に取り込むにあたり、鍵となるものである。今回の会議では多くの提言がなされた。それらを反映させた後、最終版を2015年初めに各赤十字・赤新月社に配布する予定である。
     
  • 地域内での各赤十字・赤新月社の備え・対応能力を維持するために、既存のCBRN対応での連携および近隣赤十字・赤新月社への支援促進を目的とした地域毎のワークショップを開催すべきである。
     
  • 化学物質、生物物質による災害のみならず、技術的災害との関連において、原子力緊急事態への備えを、既存のあるいは現在行われている災害への備えと災害からの回復強化の取り組みの中で、さらに整理すべきである。
     
  • 連盟のプログラムに利用できる適切なリソースを支援・確保する。
     
  • 現在、各赤十字・赤新月社のプログラムを支援するための連盟の活動は、資金面・技術面での支援や様々な公的援助機関が募集するプロジェクト提案への各赤十字・赤新月社との共同申請を通じて行われている。各プログラムを長期的に持続可能なものとするために、こういった取り組みを強化する必要がある。
     
  • 各赤十字・赤新月社は政府を補完する機関として、原子力緊急事態およびその備えに関わっている。原子力緊急事態への備えという具体的な問題に国レベルで取り組むことができるよう、各赤十字・赤新月社は国家レベルでの原子力緊急時対応計画について知識を持ち、自分達が持つ災害対策・対応能力にもとづき、今後の役割をさらに明確にする必要がある。