文字サイズの変更
×

福島原発事故 救援者への認識調査から

放射線下での活動を検討する災対本部と救護班(3月13日夜の福島県支部)

放射線下での活動を検討する災対本部と救護班(3月13日夜の福島県支部)

日本赤十字社は、東日本大震災発生以降、救護活動をはじめとした様々な支援活動を被災地において展開しました。
福島県では福島第一原子力発電所事故に伴う原子力災害が発生し、日赤の活動においてもこれまでにない経験であり、できる限りの活動を行ったものの、その活動に制約が生じたことは課題であると考えています。

今回の災害対応の経験を今後に生かしていくために、日赤では、救護活動に従事した職員に対して聞き取り調査を実施し、当時の医療救護活動に関する記録として整備するとともに、課題・問題点を整理しました。

当ページでは、聞き取り調査を通じて整理した課題・問題点等に加えて、各問題点等に関して活動に従事した職員のコメントを掲載しています。
日赤では、これらの聞き取り調査結果を今後の活動に活かしていくことを企図しています。

(なお、救護班の聞き取り調査に関する詳細は調査結果報告書を参照ください。)


救護班調査結果の概要

救護活動従事者の日赤の救護活動に対する認識・評価

救護活動に従事した職員へのインタビュー調査、アンケート調査結果から、救護活動に対する認識・評価は以下のように整理できます。

  • 救護活動従事者の多くは概ね一定の救護活動ができたという認識を持っている。
  • 一方で、特に災害発生当初に活動していた職員は、一定の救護活動が実施できたと考える割合が少なくなる。
  • 救護活動自体はある程度できたと考えているが、課題はあったと考えている職員が大半である。
救護班活動者の福島県での救護活動に関する評価
  • 全く活動できなかった
  • ほとんど活動できなかった
  • ある程度活動できた
  • 十分に活動できた
  • わからない

※「原子力災害時の福島での救護活動を振り返って、日本赤十字社の救護活動をどのように認識していますか。」に対する救護活動従事者の回答(n=137)

救護班活動者の福島県での救護活動における課題認識
  • 全くなかった
  • ほとんどなかった
  • ある程度あった
  • 多くあった
  • わからない

※「原子力災害時の福島での日本赤十字社の救護活動に対して課題と感じたことはありましたか。」に対する救護活動従事者の回答(n=137)

活動時期ごとの福島県における救護活動の課題の全体像

原子力災害の発生以降、一時的に救護活動に制約が生じた要因、課題と考えられることの全体像は以下の図表のように整理しています。
これらは、救護活動に従事した職員や赤十字関係者の意見等を基にとりまとめました。

活動時期ごとの認識(課題・問題点、発揮した強み)

福島県における救護活動においては、想定外の状況の発生により、一時、十分な救護活動が展開できなかった時期が生じた。
初動の混乱、活動が停滞した時期があったものの、3月15日以降は、徐々に安定した救護活動を展開する体制を構築した。
初動期の混乱から安定した活動が展開できるようになった時期までの、課題・問題点、発揮した日赤の強みなどは以下のように整理できる。

【初動混乱期~活動停滞期】 福島県内で必要十分な救護活動が実施できたかった時期
(1) 活動状況 ・被ばくの可能性のある被災者への救護活動・診療が十分にできなかった
・他地域から派遣された救護班が撤退を余儀なくされ、継続的に派遣されない時期が生じた
(2) 制約が生じた要因 ・想定外が多く、現場での救護活動の統制をとることが難しかったこと
・救護活動に従事する職員の安全を確保することが困難であったこと
・被災・被ばくの情報が的確に把握できなかったこと
・原子力災害に対する知識や装備・資機材が不足していたこと
・不測の事態・想定外の事象への備え、対応の準備が十分ではなかったこと
(3) 混乱期~活動停滞期に救護活動を支えたもの ・現場の柔軟な対応力、行動力
・医療従事者等のネットワーク、情報交換
【活動再構築期~安定活動期】 福島県内で継続的に救護活動が展開できるようになった時期
(1) 活動状況 ・福島市、会津若松市を中心に巡回診療等の継続的活動を展開
・原子力発電所から半径30㎞以内では活動を行わないことを明確化
(2) 継続的に救護活動が展開できた要因 ・活動指針の明確化により、組織的な統制がとれ始めたこと
・必要な資材の配備、専門家の助言体制の確立など、安全確保ができる状況を整えたこと
・被災・被ばく情報が把握でき始めたこと
(3) 再構築期~安定活動期の活動を支えたもの ・外部からの情報取得、活動ルールの活用
・必要な資機材、専門家の配備と必要なガイダンスの実施

これらのとりまとめにあたって参考とした救護班活動者のインタビュー時のコメントは以下を参照ください。

活動時期別の救護活動者のコメントへ