福井赤十字病院の放射性物質汚染傷病者受入れ訓練開催について

2018/09/28

福井赤十字病院で放射性物質汚染傷病者受入れ訓練を開催

 東日本大震災以降、防災の意識が高まり、より実践的な訓練が全国で開催されています。平成30年7月14日(土)、福井赤十字病院は、救急外来前室及び屋上ヘリポートを会場として、原子力発電所内放射性物質汚染傷病者受入れ訓練を開催しました。
 福井県には、敦賀発電所、美浜発電所、大飯発電所、高浜発電所の4か所の原子力発電所と、高速増殖原型炉「もんじゅ」など原子力施設が2か所あり、日本国内で最も多くの原子力施設が集まる県でもあります。現在、大飯発電所の2基、高浜発電所の2基併せて4基の原子炉が稼働しています。

 福井赤十字病院は平成28年3月に福井県から「原子力災害拠点病院」に指定されました。平成30年1月には除染スペースの整備を完了し、同年3月には緊急被ばく医療対応マニュアルを完成させるなど、具体的な原子力災害への備えを進めてきたところです。
 今回の訓練は、各関係機関と連携し、放射性物質汚染傷病者の受入訓練を行うことでそれぞれの連携やマニュアルの検証を行うことを目的として、実施しました。


被ばく傷病者用に養生された聴診器(中央)

被ばく傷病者用に養生された聴診器(中央)

 当日は、原子力発電所内で作業中の事故により、放射性物質汚染傷病者が1名発生したとのシナリオに基づき、県から福井赤十字病院に傷病者の受入要請が入り、「原子力災害医療チーム」が受入準備を進めるという流れが確認されました。

 除染スペースには、点滴スタンドやモニターなどの医療資機材が準備され、同時に除染スペースと医療資器材の養生やゾーニングを行い、受入準備が着々と進んでいきました。


処置を行う原子力災害医療チームの様子

処置を行う原子力災害医療チームの様子

 搬送班による傷病者の受け入れでは、当初はヘリによる患者受け入れを行う予定でしたが、訓練中に実際のヘリ搬送が必要な負傷傷病者が発生したため、実際のヘリによる搬送はできませんでした。そこで、福井県防災航空隊が搬送してきたという仮定で、患者を除染スペースまで搬送するという手順をマニュアルに沿って行いました。続いて患者が搬送されてきた除染スペースでは、除染作業が開始され、最終スクリーニング後、病棟へと搬送され、転送後、汚染された施設内の養生を撤収し、チーム要員と施設の汚染検査を行って一連の訓練を終了しました。
 当日は、7月の暑い日差しが照り付ける中、医師、看護師、放射線技師、事務職員合わせて35名の病院職員が参加し、各担当の任務を確認していました。
 参加した医師の嶋田救急部長は「初めての実働訓練で、傷病者の洗浄手順が課題で、(汚染区域の)場所が狭くてエリア設定も今後検討が必要だと感じた」と感想を述べられました。また、訓練を企画・運営した医師の田邉災害救護支援室長は「汚染区域のエリア設定、記録の残し方、手術や全身CTの撮影が必要となった場合の手順など、新たな課題が認識でき、有意義な訓練になった」と訓練の成果を振り返りました。
 今後、原子力災害拠点病院として、今回の訓練を踏まえて具体的な改善を行い、不測の事態にそなえることとしています。

原子力災害時の日本赤十字社の対応と備え


 日本赤十字社は、原子力災害に備えるために、「活動従事者の安全確保」、「原子力災害対応のための体制の強化」、「原子力災害対応のための人材育成」及び、「原子力災害に関する情報収集と発信」の4つの柱に取り組んでいます。
 これらを実現するために、「原子力災害における救護活動マニュアル」、「原子力災害における救護活動ガイドライン」の作成、デジタルアーカイブを通した情報発信、原子力災害時に救護活動を行う救護班のための「原子力災害対応基礎研修会」を実施しています。
 詳しくは、日本赤十字社の 原子力災害に備える取り組み をご覧ください。