第3回アジア大洋州赤十字社 災害対策戦略会議への参加について

2016/11/02

 2016年9月21日から23日の日程で「第3回アジア大洋州赤十字社 災害対策戦略会議~コミュニティ・レジリエンス(回復力)に向けて~」が韓国・ソウルで開催され、赤十字原子力災害情報センター(以下、当センター)から藤巻 三洋 職員が参加しました。

1. 第3回アジア大洋州赤十字社 災害対策戦略会議について



アジア大洋州から80名以上の参加者

アジア大洋州から80名以上の参加者

 標記会議は国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の5か年戦略に基づいて、特にアジア大洋州地域の災害対策戦略を協議するために開かれる会議で、2006年の東京、2010年のブリスベン(オーストラリア)に続いて、今回が3回目の開催となりました。会議には地域内33の赤十字社から災害対応・防災担当者、域内で災害関係のプログラムを支援している担当者および連盟ジュネーブ・地域事務所代表などが参加し、総勢80名を超える大規模なものになりました。


地域内協力に関するワーキンググループ

地域内協力に関するワーキンググループ

 会議では、過去10年間の域内の赤十字社における災害対策戦略について振り返り、さらに最近作成された災害対策に関する重要な国際的政策である「仙台防災枠組2015-2030」、「COP21パリ協定」、「持続可能な開発目標(SDGs)」、「世界人道サミット報告書(2016)」などについて確認した上で、新しい「災害対策戦略2016-2020」(以下、戦略)について検証しました。また、域内の赤十字社の活動事例から得られた技術的革新例(SNSを用いたボランティアネットワークの構築と災害情報の収集・発信など)や、災害対策に求められる新しい考え方である「グリーンレスポンス」などが参加者間で共有されたほか、戦略に明記される予定の重要行動を精査するために、①災害対応・復興における地域内協力、②都市化と気候変動、③コミュニティ・レジリエンス、④災害対応能力の組織的強化の、4つのテーマ別にワーキンググループを構成し、協議を行いました。そして、3日間の協議内容を「災害対策戦略2016-2020」に反映し、最終日には戦略案が共有され参加者間で基本的に合意されました。

アジア大洋州赤十字社 災害対策戦略2016-2020(案)の概要 [PDF](英語のみ)

2. アジア大洋州レファレンスセンターとの協働に関するパネルディスカッションについて



オープニングセレモニー

オープニングセレモニー

 会議開催に合わせて、韓国赤十字社(以下、韓赤)と連盟が共同で運営する「アジア大洋州レファレンスセンター」のオープニングセレモニーも開催されました。このセレモニーの中では、災害対策に関係の深い連盟のレファレンスセンターである「赤十字気候センター」と「世界防災センター」、日本赤十字社から当センターが招かれ、各センター間の協働に関するパネルディスカッションが行われました。


パネルディスカッション

パネルディスカッション

 まず、各センターの代表が、それぞれのセンターの事業概要とアジア大洋州の各赤十字社に提供しうる支援についてプレゼンテーションを行いました。当センターからは、福島第一原子力発電所事故対応の教訓から始まった日赤の原子力災害対応について、特に①「原子力災害における救護活動ガイドライン」[PDF]の概要、②放射線測定装置と放射線防護資機材の全国への配備、③緊急被ばく医療アドバイザーを中心とした原子力災害対応体制や活動従事者に助言を行う体制、④1,900を超える原子力災害に関する文献・記事・写真・リンクを登録した「赤十字原子力災害情報センターデジタルアーカイブ」(以下、アーカイブ)と、アーカイブ上で参照可能な情報などについて発表を行いました。また、アジア大洋州の各赤十字社に提供しうる支援として、①アーカイブにおける原子力災害対応例やこれまでの成果物の公開、②原子力災害発生時の放射線測定装置・防護資機材の緊急供与、③原子力災害対応計画策定時のコンサルティングなどを提案しました。

 また、後半のディスカッションの場面では、各センターの代表者が「アジア大洋州レファレンスセンター」との将来可能な協働内容について発表を行い、レファレンスセンターに期待する事項について討議しました。当センターからは、将来可能な協働内容として、①レファレンスセンターが計画しているテクニカルアドバイザリーグループへの、日赤の緊急被ばく医療アドバイザーの登用、②レファレンスセンターが実施するワークショップなどへの講師派遣を提案し、期待事項として、①アジア大洋州地域での原子力災害対策推進への機運の醸成、②地域内赤十字社を対象にした原子力災害対策に関するワークショップなどの開催について述べました。

 ディスカッションを総括した韓赤の教育・研修チーム長Sungjun氏は、「先に韓国南東部の慶州付近で発生した地震は、韓国観測史上最大の規模で原子力発電所密集地域にも近いことから、韓国でも原子力災害対策に対する関心が非常に高まっている。気候変動も含めてコミュニティ・レジリエンスのためには異なった種類のハザードに包括的に取り組む必要があり、それぞれの分野で専門的に活動する各センターと協働し、アジア大洋州のレファレンスセンターとして機能を高めていきたい」と発言して、このセッションを締めくくりました。

当センターのプレゼンテーション [PDF](英語のみ)

 当センターでは、今後もこのような国際会議の機会をとらえて、日赤の原子力災害に対する取り組みについての情報発信を行い、赤十字姉妹社の原子力災害対策推進を支援していきます。