第39回日本血液事業学会総会での講演について

2016/02/17

 日本血液事業学会総会が2015年10月4日から6日の日程で大阪市で開催されました。本学会は、毎年1回テーマを決めて開催されており、安全な血液製剤の安定供給の検討などがなされています。本年のテーマは「ふたたび輝く笑顔のために」です。
 その中で行われたワークショップ「新たな危機管理体制をめざして~あの日を忘れないために~」において、日本赤十字社(以下、日赤)の山澤 赤十字原子力災害情報センター長が「『原子力災害における救護活動ガイドライン』の制定にあたって」という演題で講演を行いました。講演論考とプレゼンテーションは、下記よりご覧いただけます。

「『原子力災害における救護活動ガイドライン』の制定にあたって」(講演論考)[PDF]
講演に使用されたプレゼンテーション [PDF]

 講演の中で山澤センター長は、2011年3月11日に発生した福島第一原発事故での日赤の救護活動に制約が生じたという経験と、その苦い反省を踏まえて、日赤が原子力災害対応への取り組みを進めてきたこと等を述べました。

 福島第一原発事故以降、日赤はさまざまな原子力災害対応への取り組みを進めてきました。
具体的には、以下のような取組みがあげられます。

  • 原子力災害における救護活動ガイドラインの制定
  • 原子力災害における救護活動基準の作成
  • 原子力災害防護資機材の整備
  • 原子力災害対応基礎研修会
  • デジタルアーカイブによる原子力災害情報の蓄積・発信
  • 原子力災害対策普及のための国際貢献事業

 特に、1.の『原子力災害における救護活動ガイドライン』の制定は、福島での経験を広く発信していくため、また原爆と原発事故の両方を経験した唯一の国の赤十字としても責任を果たしていくためにも、事業の柱として大きく位置づけています。

 『原子力災害における救護活動ガイドライン』の目的は、被災者の生命・身体の健康・安全を守ると同時に活動従事者の安全を確保することです。日赤の職員並びにボランティアという活動従事者を念頭に入れながら、活動内容を事前対策・応急対応・復興復旧という3段階に分けて検討しています。

 また、活動地域の限定や活動従事者の被ばく線量を管理するという安全基準(血液供給従事者の基準も含まれる)、さらに放射線下での救護活動を安全かつ適切に行うための専門的な助言を行う緊急被ばく医療アドバイザーの配置(2015年10月時点で11の赤十字病院から22名を任命済み)についても明記しています。

 その一方で、原子力災害への対応については、日赤単独で解決することのできない課題も多く残されています。『原子力災害における救護活動ガイドライン』を策定するなかで、継続的な検討が必要な課題については、関係機関を交えて引き続き検討を進めるとともに、今後適宜改訂を行っていく予定です。