平成27年度 第2回原子力災害対応基礎研修会開催報告

緊急被ばく医療アドバイザーとのケーススタディ
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日本赤十字社(以下、日赤)は、平成27年11月6日、本社を会場に平成27年度第2回原子力災害対応基礎研修会を開催しました。(研修会議事概要 [PDF])
本研修会は、東日本大震災の教訓を踏まえた原子力災害対策強化の取り組みのひとつです。既に、昨年度10月と2月の2回、本年度は9月に開催しており、今回で4回目の開催となります。参加対象者は、日赤救護班要員である全国の赤十字病院の医師、診療放射線技師、看護師、事務職および支部職員です。
研修プログラムは、原子力災害における救護活動ガイドラインの説明や放射線の基礎知識、緊急被ばく医療アドバイザーの役割、放射線防護資機材の実習、グループワークによるケーススタディなどで構成されています。特にケーススタディにおいては、活動期間(3日間)と活動期間中の累積被ばく線量の上限値(1mSv)を仮定した救護活動シミュレーションを行いました。ケーススタディ後のグループ報告では、全てのグループが活動方針とそれにもとづいた累積被ばく線量の計算、医療救護の活動内容を報告しました。
自然災害と異なり、原子力災害対応を実践で経験を積み重ねることは困難です。原子力災害という、突発的な不慮の事故の中であっても、日赤救護班として放射線を過度に恐れることなく必要な活動をしていくために、日赤は本研修会のような訓練を継続して行っていきます。
なお、より地域に根差した原子力災害対策を反映した救護班研修ができるよう、平成28年度からは日本全国を6つに分割したブロック単位での研修を実施する予定です。さらに、本研修会で使用されているテキストを本デジタルアーカイブで公開する予定です。公開後は、「センターからのお知らせ」にて告知しますので、是非ご覧ください。
1. 研修の概要
(1)日時 平成27年11月6日(金)11:00~17:00
(2)場所 日本赤十字社 201会議室 他
(3)参加者 57名(全国の赤十字病院、支部)
2. 研修の目的
救護班要員が、放射線環境下での救護活動に安全かつ安心して従事できるよう放射線や、緊急被ばく医療体制等にかかる基本的知識及び放射線防護資機材の使用方法を習得することを目的とする。
3. 主なプログラム

具体的な事例を用いたトレーニング
![]() 具体的な事例を用いたトレーニング |
4. 参加者の声
【看護師】:放射線、原子力災害について、十分な知識のないまま救護活動に従事していました。このような研修は大変重要だと痛感しています。
【診療放射線技師】:現地で活動をする救護班とアドバイザーが充分に情報共有することの重要性を学ぶことができました。
【診療放射線技師】:個人被ばく線量計データ読み取り装置に関しては、技師である自分にも使用経験がなく、大変参考になりました。
【支部職員】:グループワークを通じて、様々なジレンマの中で選択肢があることを痛感しました。
【医師】:日本赤十字社として、不測の事態に救護班を派遣することに対する責任の所在や補償等についても講義内容に入れて頂きたかったです。自分にも、被ばくに対する誤解などがあることを改めて実感しました。大変有意義でした。
![]() ケーススタディのグループ報告 |
![]() 原子力災害対応基礎研修修了証の授与 |
![]() ケーススタディのグループ報告 |
![]() 原子力災害対応基礎研修修了証の授与 |