平成27年度 第1回原子力災害対応基礎研修会開催報告

グループワーク:緊急被ばく医療アドバイザー
の指導
![]() グループワーク:緊急被ばく医療アドバイザーの指導 |
日本赤十字社(以下、日赤)は、平成27年9月3日、本社を会場に平成27年度第1回原子力災害対応基礎研修会を開催しました。(研修会議事概要 [PDF])
本研修会は、東日本大震災の教訓を踏まえた原子力災害対策強化の取り組みのひとつです。既に、昨年度11月と2月の2回開催しており、今回で3回目の開催となります。
参加者は、日赤救護班要員である全国の赤十字病院の医師、診療放射線技師、看護師、事務職および支部職員です。
研修プログラムは、今年3月に日赤が策定した「原子力災害における救護活動ガイドライン」[PDF] の説明や放射線の基礎知識、緊急被ばく医療アドバイザーの役割、放射線防護資機材の実習、グループワークによるケーススタディ等で構成されています。
特にケーススタディにおいては、救護班要員の選定、目的地まで安全に行く経路の確認、意思決定、相談すべき相手先などを具体的に検討しました。参加者は、ケーススタディを通じて、大規模災害対応時に必要な原則「CSCA※1」や 「METHANE※2」、さらに緊急被ばく医療アドバイザーとの協働の重要性を再認識しました。
原子力災害という、頻度の低いとみられる事故の中であっても、日赤救護班として必要な活動をしていくために、本研修会のような訓練を継続していくことが重要だと考えています。次回は、11月6日に開催される予定です。
※1 CSCA:災害時の組織体制の原則(指揮・統制、安全、情報伝達、評価)の頭文字を取った言葉
※2 METHANE:災害現場から伝えるべき事項(事故・災害の発生と報告者の名前、正確な発生場所、事故・災害の種類、危険性の現状と拡大の可能性、現場への到達経路、負傷者の数・種類と重症度、緊急サービスの現状と必要性)の頭文字を取った言葉
1. 研修の概要
(1)日時 平成27年9月3日(木)11:00~17:00
(2)場所 日本赤十字社 201会議室 他
(3)参加者 81名(全国の赤十字病院、支部)
2. 研修の目的
救護班要員が、放射線環境下での救護活動に安全かつ安心して従事できるよう放射線や、緊急被ばく医療体制等にかかる基本的知識及び放射線防護資機材の使用方法を習得することを目的とする。
3. 主なプログラム

講義3:唐津赤十字病院 酒井医師による講義
![]() 講義3:唐津赤十字病院 酒井医師による講義 |
4. 参加者の声
【医師】:広域原子力災害時における日赤救護班の活動についてよく分かりました。
【放射線技師】:診療放射線技師とはいえ、個人被ばく線量計やサーベイメータを普段使用することはあまりありません。実習の中で実際に使用してみて、いざという時のために使用方法をよく理解しておかなくてはならないと思いました。
【看護師】:グループワークで実際に被ばく線量の計算をしてみて、難しいと思いました。専門の診療放射線技師が同行する必要性を感じました。また緊急被ばく医療アドバイザーと協働する事が大切だと思いました。
【支部職員】:これまで原子力災害時の救護活動には漠然と恐怖感を抱いていました。研修に参加して知識を得たことで、安全に活動することができると自信につながったと思います。
![]() 質疑応答の様子 |
![]() 実習1:デジタル個人線量計の使用方法 |
![]() 質疑応答の様子 |
![]() 実習1:デジタル個人線量計の使用方法 |