ふくしま復興を考える県民シンポジウム2015

2015/03/24


会場内の様子

会場内の様子

 「ふくしま復興を考える県民シンポジウム2015」が2015年3月15日に開催され、会場は国内外から訪れたおよそ380人で埋め尽くされました。本シンポジウムは、宮城県仙台市で開催された第3回国連防災世界会議(2015年3月14日~18日)の公式参加事業(パブリックフォーラム)の一つに位置付けられ、日本赤十字社(以下、日赤)も共催として参加しました。

 日赤は、シンポジウムの基調講演者として国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)事務次長のウォルター・コッテ氏と原子力災害対策上級担当官のマーティン・クロットマイヤー氏を招聘し、赤十字の福島復興への取り組みや、防災減災への取り組みについての講演を企画しました。また会場内には、赤十字原子力災害情報センター(NDRC)のブースを設置し、日赤の福島における復興支援事業を紹介するチラシやパンフレットを配布するなどのPR活動を行いました。


会場内に設置されたNDRCブース

 シンポジウムには、国連防災世界会議の本会議に参加していた各国の赤十字関係者を中心に、23人が仙台からバスで訪れ参加しました。その車内では、ボランティアの学生がシンポジウムに関する概要や日赤の福島復興への取り組みを伝えました。


会場内に設置されたNDRCブース

シンポジウム開催概要
開催日時:2015年3月15日(日)12:40~16:30
場所:ホテル辰巳屋(福島市)
主催:福島県庁、福島大学
共催:日本赤十字社

シンポジウム開催概要
開催日時:2015年3月15日(日)12:40~16:30
場所:ホテル辰巳屋(福島市)
主催:福島県庁、福島大学
共催:日本赤十字社

特別講演(基調講演)


「原子力災害と向き合う:福島の復興と防災のレジリエンス(強靭化)」
IFRC事務次長 ウォルター・コッテ
IFRC原子力災害対策上級担当官 マーティン・クロットマイヤー


左:ウォルター・コッテ氏
右:マーティン・クロットマイヤー氏

左:ウォルター・コッテ氏
右:マーティン・クロットマイヤー氏

 コッテ氏は福島の人々の復興への努力に敬意を表するとともに、東日本大震災の際に各国赤十字・赤新月社を通して世界中から1,000億円を超える寄付が寄せられたことや、今後起こりうる原子力災害に対する赤十字の国際決議と、それに基づく原子力災害への取り組みについて講演しました。

 クロットマイヤー氏は、コッテ氏の講演内容を受けて、チェルノブイリ原発事故の経験などを踏まえて、地域社会の人々が主体となって復興を目指していくことの大切さや、国際的に連携して原子力災害への備えを進める必要性を訴えました。また、赤十字が支援した福島復興への取り組みについて具体的に言及しながら、複合災害を想定した防災の必要性や、災害に強い地域作りの必要性にも言及し、今後も赤十字社は福島の復興に取り組むとともに、福島が「起き上がり小法師」のように災害を乗り切ってレジリエンスのシンボルとなり、世間から忘れられることのないように国際ネットワークを駆使して情報発信に取り組むと述べました。

パネルディスカッション 「世界に誇れる福島の復興」



パネリストの方々

パネリストの方々

 内堀雅雄福島県知事や福島県内で災害と向き合いながら経営の立て直しを図り活躍している地元企業家や大学教授らを交えてのパネルディスカッションが行われました。

 福島大学の丹波史紀准教授は、原子力災害の経験をふまえ、この4年間の被災の現状を調査し課題を研究した結果をもとに、福島県を「課題先進地域」と定義して復興の課題や現状について述べました。

 飲食業を営む会津若松商工会議所青年部の大塩真理氏は、風評被害をどのように克服したかを話すとともに、震災後「子供たちに商売を通じて自ら決め、行動し、結果を出す体験をさせ、未来の会津若松を担う人材を育成すること」を目的に作られたジュニアエコノミーカレッジの取り組みについて事例を挙げて説明しました。

 その他、地元福島でさまざまな苦難に立ち向かい、新たな産業、技術開発などを軸に地域おこしにチャレンジするパネリストたちの話に会場は熱気に包まれました。

学生ボランティアの活躍



車内で配られた手作りの新聞

車内で配られた手作りの新聞

 ボランティアの学生2人が、本会議場のある仙台からシンポジウム会場に向かうバスの車内にて、自らの被災体験や復興への取り組みを英語で説明するとともに、同シンポジウムおよび日本赤十字社の福島復興への取り組みについてまとめた手作りの新聞を配付しました。

 福島大学1年生の畠山さんは実家のある岩手県陸前高田市で被災しており、震災当日の様子や、多くの人の助けを借りて高校を卒業したこと、卒業後は復興を身近に感じ、忘れることのないようにとの思いから福島市にある福島大学に進学したことを伝えました。また、ドイツ赤十字社から寄せられた海外救援金を活用して建設された川内村の「コミュニティー施設」や、応急仮設住宅への家電セットの寄贈などについて言及し、日本赤十字社の福島における復興事業を紹介しました。


左:ヤン・ショエさん、右:畠山さん

左:ヤン・ショエさん、右:畠山さん

 東京大学大学院1年生のヤン・ショエさんは中国からの留学生で、大学院では社会人類学を専攻し福島原子力事故における地域コミュニティーの復興について調査しています。2009年から2011年までIFRCにおける四川大地震の復興支援に携わった経験から、日本赤十字社でボランティアとして活動することは、自分にとって、暖かく、英気が養われ、幸福に満たされる家に帰ってきたような感覚であること、日赤ボランティアの活動を通して福島の人々とより深く交流できる機会を与えられたことをとても嬉しく感じていることなどを語りました。またヤンさんは、赤十字原子力災害情報センターの取り組みやデジタルアーカイブについても紹介しました。

 日本赤十字社は、今後も国際赤十字とも連携して福島での支援活動を継続するとともに、復興の歩みを推進すべく福島の情報を国内外に発信していきます。