• 「原子力災害における救護活動ガイドライン」策定について

「原子力災害における救護活動ガイドライン」策定について

 2015年3月30日、日本赤十字社(以下、日赤)は「原子力災害における救護活動ガイドライン」 (以下、本ガイドライン)を策定しました。そして、2016年3月31日に一部見直しを行ったところです。(平成28年3月31日版)

 日赤では、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島第一原発事故)での活動における経験と反省を踏まえ、同年11月の国際赤十字・赤新月社連盟総会での「原子力事故がもたらす人道的影響に関する決議」に基づき、将来、同様の災害が発生した場合に、日赤として迅速かつ適切な人道支援活動が実施できるよう、原子力災害対応への取り組みを進めてきました。
 2013年5月には、日赤救護班を対象とした「原子力災害における救護活動基準」を作成し、2014年3月には、全国の支部・施設へ原子力災害防護資機材を配備しました。そして、2014年11月からは、日赤救護班要員を対象に原子力災害に備えるための教育・研修会を実施しています。これらの活動と並行しながら、本ガイドラインの策定にも取り組んできました。

 本ガイドラインでは、幅広い活動を念頭に、策定の背景、目的、対象範囲や活動時の留意事項を明らかにするとともに、「事前対策フェーズ」、「応急対応フェーズ」、「復旧・復興対応フェーズ」に分け、福島での経験を踏まえ、それぞれの活動について記述しています。また、活動従事者である職員ならびに赤十字ボランティアなどの安全を確保するための基準も明記しました。安全基準は、活動地域を指定することと、活動従事者の被ばく線量が設定する上限値を超えないよう個人の被ばく線量を管理することからなっています。緊急被ばく医療アドバイザーによる専門的な助言体制の構築についても記述しています。
 本ガイドラインの策定にあたっては、客観性を保ち、実用的なものとするため、社内外の有識者を集めて「原子力災害における赤十字活動ガイドライン研究会」(以下、ガイドライン研究会)を設置し、各委員の幅広い視点からの意見、提言をいただきながら、ガイドラインの検討を進めてきました。

 放射線の被害は国境を越えて広域に及ぶ可能性が高く、影響も多岐にわたるため、原子力災害は国際的に取り組むべき課題です。そして、日赤は、原爆による被爆国、かつ原発事故も経験した唯一の国の赤十字社として、福島での知見を広く発信する責務があり、将来への備えとしてガイドラインを策定することは、その具体的な活動の一つだと考えています。
 本ガイドラインは、今後の日赤の原子力災害における活動指針であるのは勿論のこと、国際赤十字・赤新月社連盟が策定したガイドラインとともに、各国の姉妹社において活用されることが期待されます。

 本ガイドラインの策定過程で、日赤単独で解決することのできない課題も多くありました。ガイドライン研究会等を通じて議論され、今後も引き続き検討を進める必要があると思われる事柄については、別冊の「原子力災害における救護活動ガイドライン研究会を踏まえた今後の検討課題」にまとめました。
 これらの課題についても、関係機関の意見を取り入れながら引き続き検討を続け、その成果を本ガイドラインの内容に反映していくとともに、今後のわが国の原子力災害に関する指針等の内容に応じて見直しも行っていく予定です。

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